宮崎県小林市と鹿児島県霧島市の県境に位置する霧島山・新燃岳で、火山性地震が急増し、地下のマグマ活動が活発化しています。
GNSS観測で地盤膨張も確認され、今後の爆発的噴火や火砕流リスクが高まっています。特に火口周辺3km圏内では噴石飛散の危険性があり、自治体は避難計画を強化中です。
- 地震急増と地下膨張の最新データ
- 噴煙・降灰による生活・交通への影響
- 専門家の見解と今後のリスク
- 具体的な防災・避難行動
地震急増|地下膨張と連動、噴火リスクが持続

2024年10月から増加傾向にあった火山性地震は、2025年6月22日の噴火後、6月28日までに計2192回に達しました(気象庁公式発表)。
この急増はGNSS観測で確認された「地下深部の膨張」と同期しており、マグマだまりの活動活発化を示す決定的な兆候です。
噴煙・火山灰被害、生活・交通への影響も広がる恐れ

6月28日時点で噴煙は最高1600mに達し、南東方向(宮崎県側)へ拡散。
都城市や宮崎市では降灰が確認され、農業被害や交通障害(視界不良・車両スリップ)が発生する可能性があります。
吸引リスク回避のため、屋外ではマスク着用が必須です。
リスク | 具体例 | 対応策 |
---|---|---|
交通障害 | 視界不良・道路標識遮へい・車両スリップ | 車は速度抑制・ヘッドライト点灯 |
農業被害 | 作物への灰付着で品質低下 | 収穫・洗浄の徹底 |
生活影響 | 洗濯物の屋外干し困難、窓ガラス破損 | 室内干し・窓の補強 |
健康被害 | 呼吸器疾患悪化 | N95マスク・ゴーグル着用 |
💡 宮崎県公式防災マニュアル
「降灰時は窓を閉め、換気を最小限に。洗濯物は室内干し。車運転は緊急時以外控え、やむを得ない場合は昼間でもヘッドライト点灯」(宮崎県防災ポータル)
地震2192回の意味|地下マグマ系の高エネルギー状態
地震回数の急増と火山性微動の継続は、マグマや熱水の移動を反映。
特に2025年3月から観測される「霧島山深部の膨張」は、マグマ蓄積の進行を裏付けています。
6日間で何が起きた?
日付 | 主な出来事 | 詳細 |
---|---|---|
6/22 | 7年ぶりの噴火 | 噴煙500m、降灰確認 |
6/23 | 火山ガス放出量急増 | 4000トン/日 |
6/26-27 | 連続噴火 | 活動加速 |
6/28 | 地震2192回に到達 | 活動収束の兆候なし |
なぜ地震が急増したのか?

主因は地下深部でのマグマの蓄積と上昇。GNSS観測で「霧島山深部の膨張」が継続し、火山性地震の増加と一致しています。
💡 鹿児島大学 井村隆介准教授(6/27現地調査)
「山頂溶岩の割れ目に沿った噴火が継続。過去の円形火口噴火と異なり、割れ目噴火状態が続いている。マグマ噴火への移行リスクが高い」
発言要約・参考URL
専門家の見解と過去事例
「地震増=即時噴火」とは限らない
鹿児島大学・嶋野岳人教授は「現状は過渡期。水蒸気噴火が主だが、火山ガス急増からマグマ噴火移行の可能性も否定できない」と慎重な見解を示しています(NHK)。
2011年噴火との比較
- 2011年噴火は膨張を示す地殻変動が噴火3年前から観測され、最終的に準プリニー式噴火に発展
- 現在の地震回数は2011年初期活動を上回るが、膨張の深度や規模が異なり単純比較は困難(東京大学・中田節也教授)
生活・観光への影響と対策
降灰による影響と対策まとめ
分野 | 影響 | 対策 |
---|---|---|
交通 | 視界不良・スリップ | 速度抑制・ヘッドライト点灯 |
農業 | 作物被害 | 灰の除去・洗浄 |
生活 | 洗濯物・窓ガラス | 室内干し・窓補強 |
健康 | 呼吸器・目 | N95マスク・ゴーグル |
観光予定はどうする?
- 火口から3km以遠(えびの高原等)は通常営業
- ただし、風向き・降灰予報を必ず確認
- キャンプ場等は休業例あり(ひなもりオートキャンプ場は7/3まで休業)
自治体の避難体制と警戒情報
日時 | 対応内容 | 詳細 |
---|---|---|
6/22 17:30 | 初動調査 | 登山者名簿確認・防災無線起動 |
6/23 12:00 | 登山道規制 | 災害対策法63条に基づく立入禁止 |
6/23 18:30 | レベル3対応 | 避難勧告発令準備完了 |
- 火口3km圏内は立入禁止
- 最新情報は宮崎県・高原町防災ポータルで確認
Q&A
- Q火山性地震はいつ収まる?
- A
現時点で収束予測は困難。過去の活動パターン(例:2011年噴火)では、噴火後も数週間~数ヶ月の地震継続例あり。マグマ供給停止が鍵。
- Q地下膨張=マグマ上昇なのか?
- A
GNSS観測の膨張データは「マグマだまりの膨張」を示唆するが、熱水活動の可能性も残る。2011年噴火時はマグマ上昇速度が「数日」だった事例も。
- Q観光予定はキャンセルすべき?
- A
火口から3km以遠は通常営業だが、降灰リスク・施設の営業状況を事前確認し、自治体・施設の最新情報を参照。
防災行動チェックリスト
- 気象庁・自治体・ウェザーニュース等の公式情報を随時確認
- 火山活動は依然活発で、地下膨張と地震増加が持続
- 自治体発表の避難情報を最優先
【おすすめの防災グッズ】
必須アイテム | 用途 |
---|---|
N95マスク | 灰吸引防止 |
保護メガネ | 目の保護 |
飲料水・非常食 | 3日分確保 |
懐中電灯・電池 | 停電対策 |
【行動ポイント】
- 降灰時は窓を閉め、換気最小限
- 車運転は緊急時以外避ける
- 避難指示が出たら速やかに指定避難所へ
まとめ
GNSS膨張データと2192回の地震は、新燃岳地下のマグマ系が高エネルギー状態にあることを示す二重の証拠です。
過去の水蒸気噴火からマグマ噴火へ移行した事例もあります。
自治体の避難指示を最優先に冷静な判断と準備を心がけましょう。
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